妊娠中は免疫機能が下がるため、様々な感染症や食中毒にかかりやすくなっています。ここでは、リステリア菌によって引き起こされるリステリア症について、症状や胎児への影響、感染経路、感染予防策などを解説していきます。
リステリアとは
リステリアとは、動物の腸管内や土壌・河川などに広くいる細菌で、食品を介して人の中に入り食中毒を起こす原因となります。
加熱により死滅しますが、低温・高塩濃度の中でも増殖するのが特徴です。
非常に多くのリステリアを摂らない限り、発症することはほとんどありませんが、妊婦さんや高齢者などの免疫力が下がっている人は、少量のリステリアでも発症しやすく、感染した時には重症化しやすい傾向にあります。
日本国内において、リステリアによる食中毒の症例は非常に少ないですが、輸入食品からリステリア菌が検出されたケースもあり、注意する必要のある食中毒の一つと言えます。
症状
リステリアに感染した場合、症状の重症度には個人差がありますが、発熱や悪寒、吐き気、頭痛、嘔吐、下痢、筋肉痛などを引き起こすことが多く、インフルエンザに似た症状とも言われています。
免疫力が下がっている妊婦さんは、重症化する可能性が高く、妊娠後期ほど重症化しやすいと言われています。その場合には髄膜炎、敗血症、痙攣、意識障害などを起こす恐れがあります。
胎児への影響
妊婦さんがリステリア菌に感染すると、胎盤を通して、お腹の赤ちゃんにも感染する可能性があります。
胎児へ感染した結果、流産や早産、死産に繋がるリスクや、新生児の髄膜脳炎や敗血症に繋がることもあります。
感染経路
リステリア症の主な感染源としては、以下の3つが挙げられます。
加熱に弱く、低温に強いという特徴から、冷蔵庫での長期保存が可能で、加熱せずに食べられる食品には特に注意が必要と言えます。
- ナチュラルチーズ
- 食肉加工品(生ハムなど)
- 魚介類加工品(スモークサーモンなど)
ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズとは、生乳を乳酸菌や酵素で凝固させ、ホエイを取り除き固めたもの、あるいは熟成させたものを指します。代表的なものには、カマンベールチーズ、モッツアレラチーズ、クリームチーズ、ブルーチーズなどがあります。
加熱殺菌されていないナチュラルチーズには、リステリアが存在する可能性があります。
日本国内で製造されたナチュラルチーズは加熱殺菌されたものが多いため、極度に心配する必要はありませんが、輸入品のナチュラルチーズは殺菌されていない可能性が高いため、特に注意が必要です。
ナチュラルチーズについて、詳しくはこちら↓
食肉加工品
生ハムやサラミなどの食肉加工品は、火を通さずに食べることができると同時に、長期間冷蔵保存が可能な食品です。冷蔵庫で保存していてもリステリアは増殖するため、妊娠中はできるだけ避けるべきでしょう。
魚介類加工品
スモークサーモンなどの魚介類加工品も、食肉加工品と同様、なるべく避ける、食べる場合は、必ず賞味期限内に食べきることに注意してください。
感染しないために気を付けること
リステリアへの感染予防策として、以下のことに注意しましょう。
- 食品は賞味期限内に食べきる
- 開封後の食品は賞味期限内に関わらず早めに食べきる
- 食べる前に十分に加熱する
- 国産のナチュラルチーズは、加熱殺菌の有無を確認してから食べる
- 海外産のナチュラルチーズは避ける
- 生ハムなどの食肉加工品は避ける
- スモークサーモンなどの魚介類加工品は避ける
これらのことに十分に気を付けて、リステリアへの感染を防ぎましょう。
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