妊婦が知っておくべき栄養の知識|葉酸・カルシウム・鉄分・DHAについて

妊娠中の食事

妊娠中、ご自身の体のことや胎児のことなど、気にしないといけないことが多くあります。特に食事には配慮が必要で、摂取する栄養についてもある程度知識を持っておく必要があります。

当記事では、妊婦に特に重要な次の栄養についてわかりやすく紹介していきます。

  • 葉酸
  • カルシウム
  • DHA

葉酸とは

葉酸とは、ビタミンB9に該当し、ほうれん草から発見されたことから、葉酸と呼ばれています。主に、緑黄色野菜や果物などに含まれます。

葉酸は子供や大人すべての人に必要な栄養素ですが、とくに妊婦さんにとって、大切で欠かすことのできない栄養素の一つです。

妊娠中の葉酸の1日の推奨摂取量は480µg。葉酸を適正量摂取することで、赤ちゃんの先天性障害を減らすと言われています。とくに、赤ちゃんの脳や神経が作られる妊娠初期には、意識して摂取しなければいけません。

葉酸の豊富な食材

海苔、ほうれん草、枝豆、レバー、うなぎ、納豆、ライチ

葉酸が不足するとどうなる?

妊娠中に葉酸が不足すると、赤ちゃんの先天異常のリスクが高くなります。例えば、二分脊椎症無脳症など。

また、赤ちゃんだけでなく、妊婦さん自身が葉酸欠乏症となり、貧血や精神不安定などの症状が出ることもあります。

効率よく葉酸を摂取する方法

ビタミンB12と組み合わせると吸収率アップ

主に魚介類に多く含まれるビタミンB12は、葉酸が体内で細胞を合成するのをサポートし、葉酸の体内への吸収率を高める働きをします。

ビタミンB12の豊富な食材

あさり、しじみ、はまぐり、カキ、ホタルイカ、さんま、いくら

ビタミンB12の豊富な魚介類と、葉酸の豊富な緑黄色野菜を組み合わせて食べるのがおすすめです。

野菜はサッと洗って、生で食べよう

生野菜

生野菜

葉酸はに弱い性質があります。加熱すると葉酸は半分になってしまいます。生で食べられる野菜は、加熱せずになるべく生で食べましょう。

また、洗うときは水で手早く洗う程度にしてください。

加熱する場合は、スープや味噌汁など、汁ごと食べられる料理であれば、食材から出ていった栄養も無駄にせずに摂れるのでおすすめです。

野菜は冷蔵庫で保存し、早めに使い切ろう

葉酸はに弱い性質もあります。

日光のあたる場所に置いていると、葉酸が損失されてしまうため、野菜を買ったらすぐに冷蔵庫に入れて保存しましょう。

また、鮮度が落ちると葉酸が減ってしまうため、より新鮮なものを選び、早めに使い切ることも大切です。

カルシウムについて

お腹の中の赤ちゃんの骨や歯を形成するために欠かせないカルシウム
カルシウムは、乳製品や野菜、大豆製品など、様々な食材に含まれます。

カルシウムの豊富な食材

牛乳、ヨーグルト、チーズ、昆布、小松菜、切り干し大根、ごま、モロヘイヤ、煮干し、干しエビ

カルシウムが不足するとどうなる?

カルシウムは、日本人のほとんどが不足していると言われており、食生活の中で意識して摂りたい栄養素の一つです。

妊娠中にカルシウムが不足した場合、妊婦さんの骨や歯にもともと蓄積されていたカルシウムが溶けて、お腹の中の赤ちゃんに送られます。その結果、妊婦さん自身が骨粗鬆症となったり、将来的に骨粗鬆症となる原因になったりもします。

また、授乳中は、母乳を作るためにカルシウムを失いやすいため、カルシウム不足となる場合があります。この場合も、骨や歯が弱くなり、骨粗鬆症の原因にもなります。

ビタミンDでカルシウムの吸収率をアップしよう

ビタミンDは、体内で活性化し、活性型ビタミンDに変化します。変化した活性型ビタミンDは、カルシウムの吸収とカルシウムを骨や歯へ運ぶ働きをします。また、骨芽細胞の働きを促し、骨の形成を助けます。ビタミンDが体内への吸収率を高めてくれるのです。

しかし、日本人の8割もがビタミンDを不足しているという現状です。不足すると、カルシウムを十分に摂取していても吸収率が悪く、骨や歯が弱くなる恐れがあります。ビタミンDを含む食材を食事に取り入れて、摂取したカルシウムをたっぷり体内へ吸収しましょう。

ビタミンDの豊富な食材

干ししいたけ、きくらげ、鮭、さんま、かつお、あじ

また、ビタミンDは、食事からの摂取だけでなく、日光(紫外線)を浴びることでも体の中で作られるため、適度な日光浴も必要です。

鉄分について

妊娠中は貧血になりやすいですね。その原因としては、赤ちゃんに優先的に鉄分が送られることや、血液量が増えることで血液の濃度が薄くなることなどがあげられます。

妊婦さんが貧血になった場合、赤ちゃんに酸素が送りにくくなり、未熟児の可能性や、重度の貧血の場合には、死産となることもあります。

貧血の予防に欠かせない栄養素は、鉄分日々の食事で積極的に鉄分を摂取しましょう。

動物性のヘム鉄を積極的に摂取

鉄分には、動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄と非ヘム鉄では、体内への吸収率に大きな差があり、吸収率の高いヘム鉄は30%程度、これに対して吸収率の低い非ヘム鉄は7%程度です。

効率的に鉄分を摂取するためには、非ヘム鉄よりもヘム鉄が含まれる食材を積極的に食事に取り入れることが大切でしょう。

≪ヘム鉄(動物性食品)≫

  • 赤身の肉
  • レバー
  • かつお
  • まぐろ
  • あさり

≪非ヘム鉄(植物性食品)≫

  • 納豆
  • 高野豆腐
  • ほうれん草
  • 小松菜

ビタミンCで鉄分の吸収率をアップしよう

へム鉄、非へム鉄のどちらの場合も、ビタミンCを含む食材と一緒に食べることで、体内への吸収率がアップします。ブロッコリーやかぼちゃ、パプリカ、レモン、オレンジなどは、ビタミンCを多く含むため、おすすめです。

コーヒーや緑茶は鉄の吸収を抑制する

コーヒー

コーヒー

コーヒーや緑茶、紅茶にはタンニンという成分が含まれますが、このタンニンが鉄分の体内への吸収を阻害してしまうことがわかっています。特に影響があるのが、卵や野菜などの植物性食品の非ヘム鉄。お肉やお魚などの動物性食品のヘム鉄はあまり影響を受けません。

非ヘム鉄を多く含む食事の際には、コーヒーや緑茶、紅茶ではなく、タンニンの少ない麦茶やほうじ茶を飲むと良いでしょう。また、コーヒーなどは食後30分程度時間を空けてから飲むことをおすすめします。

DHAについて

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、主に魚介類に多く含まれる必須脂肪酸です。赤ちゃんの脳の発達に欠かせない栄養素で、“頭をよくする油“とも言われています。人の体内ではほとんど作り出すことができない栄養素のため、積極的に食事から摂取する必要があります。

DHAの豊富な食材

さば、かつお、さんま、あじ、ぶり、鮭、桜えび、しらす、

効率的にDHAを摂取する方法

「週に3~4回は魚料理の献立に」

日本人はもともと魚中心の食事でしたが、食生活が大きく変化し、食の欧米化が進んだことによって、近年、魚の摂取量が減少しています。和食よりも洋食を好む人や、魚をあまり食べない人は、意識して魚料理を食べると良いでしょう。週3〜4回が目安です。

妊婦さんにおすすめの調理法は、煮魚!

煮魚

煮魚

DHAは、熱の影響を受けやすく、調理法によって含有量が減少してしまいます。

刺身のDHA含有量を10割とした場合、煮魚や焼き魚にすると2割減少、そして、フライや揚げ物は5割も減少してしまうのです。このため、できれば生で食べるほうがDHAを効率的に食べられます。

しかし、妊婦さんは生魚を食べると食中毒を引き起こす可能性が高くなるため、避けた方が良いと言われていますよね。その場合は、煮魚に調理して、煮汁も一緒に食べるのがおすすめです。煮汁も一緒に食べることで、魚から出ていった栄養も摂ることができます。塩分の摂り過ぎにならないよう薄めに味付けしてくださいね。

手軽にDHAが摂れる!缶詰も活用しよう

缶詰

缶詰

手軽に使える、魚の缶詰ツナ缶などでも、DHAは摂取できます。さばの水煮や味噌煮、さんまの蒲焼、いわしの味噌煮などはおすすめです。忙しく調理できないときには活用してみてくださいね。

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